迷いはなかった
球脊髄性筋萎縮症の論文を読み漁ると、マウスでの去勢効果は大きいことが分かった。変異ARタンパク質の核内集積が著名に抑制され症状も改善されたのだ。
そこで、この分野の第一人者の教授診察の際に、ヒトで去勢した人はいるのか?と尋ねると、1人だけいて論文にもなっていると。しかもその後、調子が良いとのことなのだ。ただ、先生からは、はっきりと去勢は一切勧めないと言われた。人で実験するにはあまりにリスクが高いので当然である。
辿りついた論文
その日に紹介していただいた原文を読むと、私も打っている男性ホルモンを減らすリュープリン注射を7年間継続した後、去勢を自己責任で実施していた。その後7年間の経過を見ているのだが、なんと去勢後、筋力が維持されているではないか。
私にとっては希望の光だった。
この1年で下肢筋力の低下は著しく、先生からは、「普通にいくと45歳で杖、50歳で車椅子、55歳で〇〇」と言われていたが、このままでは、40歳で杖が必要になりそうと感じていたし、外出先で転倒することも増えてきた。
妻や友達にも相談し、背中を押してもらえ、去勢手術(睾丸摘出)をする覚悟に時間はかからなかった。
手術先が見つからない
しかし、ここから手術先を探すのに苦労した。
性別違和の診断書がないとやれないと言われてしまうのだ。
私は女性になりたいわけでは全くない。
嘘をつけば診断書は書いてもらえたかもしれないが、なんとも気持ち悪い。
6つのクリニックに問い合わせたところ1つのクリニックから対応可能と連絡があった。
1時間の不思議な手術体験
手術は部分麻酔で行われ1時間後に私の目の前に2つの睾丸が私の身体から離れた状態でステンレスの膿盆上に置かれていた。
陰茎を上向きにされ、テーピングでガチガチに固定された状態を4日間我慢するのはなかなかしんどいが、あとになれば良い思い出だろう。
手術の詳細は、また次の機会に書くと思う。
自分を信じる
さあ、これからは自分の身体で人体実験だ。
維持できても悪化しても、おそらく論文にはなるだろう。
何回も言うが、私は昔からとてつもなく運の良い人間だ。
きっと上手くいくはずだ。
ただ、私は他の方には、自分の選択を絶対にオススメしない。