Vol.2 球脊髄性筋萎縮症の診断に至るまで
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医師

遺伝子検査の結果、球脊髄性筋萎縮症で間違いありません

 

11月20日14時5分。結果が出た。疑いはじめて病院受診してから約1ヶ月。覚悟はできていた。先生はショックを与えさせないためか、精密検査の結果を検査ごとに丁寧に説明してくれたが、申し訳なく感じたので、「色々調べたので覚悟はできています。結果から教えて下さい」と先生に告げた。

球脊髄性筋萎縮症と確定されるまでの1ヶ月間で以下の検査を実施した。
MRI右下腿:筋肉内の炎症所見あり
MRI右大腿:筋肉内の炎症所見あり
MRI右前腕:筋肉内の炎症所見なし
MRI右上腕:筋肉内の炎症所見なし
針筋電図検査:SBMAの疑いあり(高振幅電位)
神経伝導検査:SBMAの疑いあり(腓腹神経の活動電位低下)
心電図:異常なし
遺伝子検査:確定(結果まで1ヶ月要す)
握力:右23kg,左26kg
感覚検査:両足背から下腿まで表在感覚低下

2つの病気を調べた結果

前回の記事で、球脊髄性筋萎縮症か封入体筋炎のどちらかの可能性が高いと書いたが、球脊髄性筋萎縮症を調べると、気になる文面を見つけた。

発症10~20年前に、手の震えを自覚する場合もあります。

確かに20代から突然、安静時、手指が震えるようになった。さらに同じ病気でブログを書いている方の投稿を読み漁り、症状などを調べていると、「耳管開放症」にも悩まされているとのこと。私もタイにいた頃から耳が詰まる症状があり、「耳管開放症」と診断されていた。調べれば調べるほど、「球脊髄性筋萎縮症」に当てはまる。ショックもあったが、今まで自身の不調が全てこの病気のせいだと分かって安心した気持ちもあった。

手指振戦

手指振戦のせいで、字が汚くなったというか真っ直ぐ線が引けないのでどうしてもクネクネした字になってしまう。これは言い訳で震えてなくても汚い。

舌の萎縮

 

舌の萎縮は鏡で見たときショックだった。その他、顔面神経麻痺もあり、右の口角はすでに上がらない。

CAGリピート数は52

健常者はCAGリピート数が36以下に対して、私は52だった。原則、数字が高ければ若年発症となる。私の発症は残念ながら早かった。

治療方法は2つ(注射とロボットスーツHAL)

リュープロレリン酢酸塩(販売名:リュープリンSR注射用キット11.25mg 武田薬品工業株式会社)

2017年8月にSBMAの進行抑制薬として健康保険適用となりました。
持続徐放性注射用製剤であり、12週に1回皮下に投与します。
リュープリンは下垂体に作用し、男性ホルモン(テストステロン)の産生を抑制します。男性ホルモンが変異アンドロゲン受容体に作用することがSBMAの発症や進展に関わるため、病因に即した治療薬です(病態抑止療法)
名古屋大学神経内科が中心となって臨床試験(治験含む)が行われました。リュープリン投与により嚥下機能(物を飲み込む機能)の改善傾向が認められました。また長期間使用した群では、リュープリンを使用しなかった群に比べて、運動機能低下の進行を遅らせ、肺炎の出現を減らす可能性があることも示されています。
男性ホルモンを低下させることでSBMAの進行抑制が期待されます。しかしその一方で、ホットフラッシュ、男性機能の低下、体脂肪の増加、糖尿病や脂質異常症の悪化、筋力の低下、骨密度の低下、うつ傾向などの副作用に注意が必要です。
武田薬品工業株式会社から「リュープリンSRによる治療を受けられる球脊髄性筋萎縮症患者さんへ Adobe Acrobat Reader」(独立行政法人医薬品医療機器総合機構ウェブサイトへのリンク)という患者向けの小冊子が発行されていますのでご参照ください。かかりつけの医師にお願いすれば取り寄せてもらえます。

3ヶ月に1回の頻度で注射を打つことになる。残念ながら、海外の論文を見てもあまり良い結果が出ているとは言えないが、信じて打つしかないのかな。

ロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb CYBERDYNE株式会社)

HAL医療用下肢タイプ(HAL-ML05モデル)が、歩行機能改善をもたらす医療機器として、2016年4月に健康保険適用となりました。皮膚表面に出現する生体電位から装着者の運動意図を解析し、各種センサー情報と運動パターンのデータベースを参照し、適切なモータートルクで随意運動を増強する生体電位駆動型装着型ロボットです。
HAL装着者の運動意図に基づいて誤りのない正確な歩行運動を繰り返すことで、脳神経・筋の可塑性を促し、HALを取り外した後の歩行改善が得られると考えられています。
独立行政法人 国立病院機構 新潟病院 神経内科 を中心とした臨床試験(治験)が行われました。SBMAを含む8つの神経筋疾患(球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、筋ジストロフィー、遠位型ミオパチー、先天性ミオパチー、封入体筋炎)を1グループとして検証され、歩行機能改善効果が認められました。
HAL治療において最大の効果を得るためには、適切な環境下で使用する必要があります。会員専用コーナー「SBMA患者のためのHALを使った治療前のチェックリストAdobe Acrobat Reader」をご参照ください。
HAL治療+リュープリン薬物療法による複合療法においても効果が期待されています。

医師から、「HALも保険適応されていますので」と言われた時、自分が仕事でも触れたことのある機器に、患者の立場で装着する可能性があることに戸惑った。

次回

次回は、家族への影響について。結局、自分のことはどうでも良くて、家族に対しての想いが強い。
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